とまとハウスの「耳より情報」
(平成27年4月号) 第106号
今月号では、人口減少に伴う賃貸業界の変化とその対策について考えて参ります。
今後激変する賃貸業界、心構えと対策は必要不可欠です。
【地価動向と賃貸市場】
日本国全体として人口減少は地価の引き下げ要因となる。しかし一地域をフォーカスして考えると、人の流入が多い地域は地価が上がり、流出が多い地域は地価が下がるのは原理である。
3月18日に国土交通省が発表した2015年の公示地価(1月1日時点)では、東京の地価上昇が顕著である。その要因は20年五輪開催関連、外国人観光客の増加、大規模マンション建築等々がある。その事は人の流入が東京に集中していることである。もう少しミクロで見ると北陸新幹線が開通し金沢駅前の地価が上昇しているが、人の動きが地価の変動要因であることは事実である。
因みに、京都を考えると人口は減少しているが、外国人等の観光客は急増しており、外国人留学生、外国人就労者も徐々に増加している。
その事は「ホテル旅館等の宿泊施設」並びに「賃貸住宅等」の稼働率UP、料金上昇につながるものである。
従って、日本全体の人口は減少するが、国外からの人の流入が増加する事により、生活の便利な都市部、観光客が期待する観光地等は地価が上がり、逆に流出する過疎地・郊外等は値下がりし、益々2極化が進む事になる。
賃貸住宅市場においても全く同様の事が予測されます。
【投資資金の流入】
人口の増減以外に、投資資金が入る地域があります。特にREIT資金が都市部を中心に流れ込んでおります。日本だけではなく先進国全体で金融緩和策を取っており、株式、債権だけではなく不動産にも投資資金が入っております。
中国では富裕層が、中国国内不動産動向の不安定さから安全な先進国の不動産市場に資金を移しており日本買いにも繋がっている。
その事は、地価動向に大きく影響しますし、賃貸
住宅市場においても同様である。
【空き家の増加】
人口減少に伴い、空き家の増加が顕在化してきております。人口減少と新築賃貸住宅供給が続いているのが大きな要因ですが、人口移動によるのも一つの要因です。都市部に超高層マンションが次々と建設され、人が生活・通勤の便の良い都市部への移動が起こっており、その事が地方、郊外の人口減少となって空き家が増加している。その事は賃貸住宅市場激変の始まりである。
現在空き家の増加は大きな社会問題化してきており、その対策が急がれております。
【稼働率の高い賃貸住宅とは】
何度も申し上げますが、賃貸住宅市場も人口の動向に大きく影響をされます。又賃貸住宅市場も同じく地価の動向に比例し人口増加地域は賃貸市場も活況で稼働率も高く、賃料も高くなります。
その事は、人口が増加している地域の賃貸物件は有利である事になり、逆に人口減少、利便性の悪い地域は益々厳しくなる事になります。
【激変する賃貸市場】
今後の賃貸住宅市場は、時間が経過する程厳しくなる事になります。
現在は、過去の片手間に賃貸住宅経営をしていれば稼げた時代ではなくなり、入居者優位の時代に変わった。その事が賃貸住宅市場を激変させたのである。その事に気付かないで相変わらず旧態依然とした賃貸経営をしているのであれば淘汰される時代となった。入居者は大切なお客様であり、サービス業と同じように接する必要があります。未来は不確定であるが変化して行く事は確かである。その変化を学習する意欲が必要であり、この環境の変化は激しく、一人では戦えないと思います。他の同業者等と一緒に学ぶ必要があります。今後の賃貸マーケットは必ず激変します。
【賃貸市場の変化の兆候】
人口減少と共に、多様化するユーザーニーズに対応するために、シェアーハウス(趣味が同じ入居者等々)DIY賃貸、デザインルーム、ペット専用、楽器が弾ける、高齢者等のマンションが徐々に登場してきております。しかしこのような入居者は既存のユーザーの獲得合戦で有り、市場が縮小する限り根本的な対策にはならないと思われます。
各自治体が空き家対策として、他の自治体に住まれている住人を自分の地域の空き家に住んで頂くための策は、同じ住民の獲得合戦(我田引水)で有る。人口が減少する限り日本国全体から見れば何の対策にもなっていないのと同じです。新たな市場を創設しなければなりません。
私的な考えかも知れませんが、今後の賃貸市場は国外から流入するユーザーをどう取り込んで行くかであると考えております。
【新たな賃貸市場の創造】
個人的な考えですが、今後日本の人口が減少して行く中、国内の就労者の補填策として外国人を受け入れて行く事になると思っております、その為に、大学では優秀な留学生の受け入れも増加するものと思います。
又、日本は観光立国も目指しており、安倍政権の成長戦略の中でも観光は成果が期待できる分野である。その理由は
●観光が世界的な成長産業であり訪日観光も伸びが期待できる
●日本が観光に真剣に取り組み始めたのは最近であり今後の伸び代が大きい
●ビザの要件緩和や免税範囲の拡大、空港や港湾の整備、訪日プロモーションなど、国の関与による成果が期待できることなどによる。
2020年に2000万人、2030年に3000万人の目標を掲げ、アクション・プログラム2014では●2020年オリンピックを見据えた観光振興●インバウンドの飛躍的拡大に向けた取り組み●ビザ要件の緩和など訪日旅行の容易化●世界に通用する魅力ある観光地域づくり●外国人旅行者の受け入れ環境整備●国際会議、展示会などの誘致・開催促進と外国人ビジネス客の取り込みの施策が打ち出されている。
今後益々増加する外国人(外国人は殆どが賃貸住宅に住む事になる)が新たな賃貸市場を創造するものと思っております。
外国人は生活習慣が違うので自分のマンションに受け入れるのは困ると言っておられる時期は長くないと思います。
如何に外国人を賃貸住宅に受け入れて行くのかを、確り学んで行く必要に迫られます。又、外国人観光客の受け入れ策として、賃貸住宅もその一つとして考える必要があります。京都では大手ホテルの建設ラッシュとなっておりますが、敷地確保が困難な状況から供給が進まず、宿泊施設の一つとして賃貸住宅がその役割を果たす時が来るものと思っております。
今後も皆様方のお役に立てる情報をお届け致します。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
宅地建物取引主任者・不動産コンサルタント技能者
ファイナンシャルプランナー・賃貸不動産経営管理士
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