いよいよ5月に始まる伊勢志摩サミットでは世界の経済が最大のテーマとなる予定です。
その様な中、現在訪日中のウルグアイ前大統領ムヒカ氏は、自分の収入の80%を寄付し質素な生活を続け「世界一貧しい大統領」と呼ばれており、2012年のリオ会議でのスピーチでは、最も衝撃的なスピーチであった事で世界中で注目されることになりました。
ムヒカ氏は「経済発展を優先するあまり、グローバリズム、消費主義社会が進展し、現在に至っては人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていない。逆に人類がこの消費社会にコントロールされているのです。
残酷な競争社会で成り立つ消費主義社会で共存共栄の議論はできるのか?
私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。
幸せになるためにこの地球にやってきたのです」と訴えかけた。
今まさに、資本主義社会の転換期であるように思えてなりません。
【地価動向】
本年1月1日現在の公示地価は全国平均で8年ぶりに上昇に転じた。
地域的に見ると、地価上昇が目立つのは地方都市である。
今回の公示時価で札幌、仙台、広島、福岡、の地方都市の地価上昇は、住宅地で2.3%、商業地では5.7%と、東京圏の0.6%、2.7%を上回ったのが特徴的である。東京圏では不動産価格が上昇し不動産に投資する投資家が期待するリターンの水準が低下しており、投資資金が地方都市へ向かっている点もある。
全国的に見て、今回の地価上昇の大きな要因は、インバウンド(訪日外国人)急増による商業店舗の収益力向上、賃貸オフィスの空室率低下、高層マンション建設用地需要、等都市中心部への不動産需要である。
インバウンドは今後も増加は続いてゆくものと思われますが、賃貸オフィスについては景気動向・投資動向による変動がありますので今後の各動向を注視する必要があります。
高層マンションについて、戸建住宅の売れ行きが悪いにもかかわらず都心の高層マンションが売れている理由は、当然、「通勤・買物等に便利」である点があげられますが、相続税対策等の投資的な面も大きな要素(物件によっては購入者の半分近くを占める)となっている。
しかし、価格面で建築費の高騰、土地仕入価格の上昇から所得の5倍をはるかに超えてきている点で一般的な需要は転換点にある様に思われます。
金融機関はゼロ金利政策導入により、個人、中小企業への貸し出しを強化し始めているが、中小企業への融資残高は未だピーク時の7割にとどまっている。
そのような中、不動産融資の需要は高く銀行の不動産融資はバブル期に並んでおり、そのような金融緩和マネーも地価上昇要因にもなっている様です。
一方、総務省の行った2015年の国勢調査で日本の総人口は5年前の調査に比べて95万人減った。
1%以上増加した地域は、東京・愛知・沖縄だけである。その増加幅も鈍ってきておりいずれは減少に転じるものと思われ、そのことは将来的には地価下落の要因となる。
【地価上昇要因であるリートの動向(投資動向)】
リート(REIT)はゼロ金利政策を追い風に、相次ぎ機関投資家が投資信託での投資へ参入してきております。
大手不動産系、地銀系、電鉄系、大手商社系等々のリートへの参入に続き、総額205兆円の運用資産を持つ「ゆうちょ銀行」までもがリート専門の不動産部を新設した。
今後は、国際投資家・1700兆円の国民資産・金融機関等の投資資金が、国債投資から投資信託、リート等への運用資金の移動がおこると思われる。
ときあたかも、国土交通省は東京オリンピックがある2020年ごろまでに、不動産投資の市場規模を30兆円に倍増させる中期目標を打ち出した。
マイナス金利政策導入で運用難に陥った投資マネーを取り込み、医療・介護などの施設整備・インフラ整備を後押しする狙いである。
具体的には、医療介護(ヘルスケア)の対策は、サービス付き高齢者住宅等を加速させ、高齢化社会の安定した居住機能を確保する政策を推進する。
インフラ整備の対策は訪日外国人の受け皿となるホテル・旅館などの宿泊施設、物流においてはネット販売の急増に伴う物流施設整備等の成長分野の不動産ストックの供給・再生の促進を図って行く事としている。
安倍政権では2020年ごろに名目国内総生産を600兆円とする目標を掲げて不動産投資市場を成長戦略に盛り込むことになる。
【賃貸動向】
テナントの空室率の改善はかなり進んでおり、近年のオフィス需要は高い。
一方、賃貸住宅は新築物件の増加と賃貸住宅需要層の減少から厳しい状態は続いております。
サ高住(サービス付き高齢者賃貸住宅)は病院の運営するサ高住以外の入居率は厳しい状態が続いており、運営方法の再検討が必要なように思われます。
その様な中でも、活発な銀行の不動産融資、資金の集まるリート等による、賃貸ビル、賃貸住宅への投資は続いております。
ゼロ金利政策、超金融緩和策が続く限り当面、不動産投資は継続されるものと思われます。但し、長期的に見て需給バランスは悪化しており、稼働率、賃料の減少が顕在化する時期が来るのかもしれません。
【賃料の動向】
近年は、相続税負担が増加する事による相続税対策の賃貸住宅建築が旺盛であり、あちこちで新築賃貸住宅が建築されております。
最近のお部屋探しの来店者の特徴は、予算の2極化傾向が顕著に見受けられます。建物の質を重視するユーザー様と、低料金をとことん追い求めるユーザー様で2極化しつつあります。
そのために、新築は直ぐに決まるのですが、築5年~築10年程度の賃貸物件が決まりにくくなっております。
その範囲の賃貸住宅は新築の供給が増加している点と、新築と家賃がそれほど変わらず、多少高くても設備の充実した綺麗な新築に住もうと思われる方が増加している点です。
一方、近年の所得の減少から古くても安い家賃の物件を探される方も増加しております。今後増加する高齢者は、一人暮らしが急増するといわれており2030年には40%近くになると予想されております。
その様な高齢者の傾向は家財等を多く所有されており、身体が不自由な方も比較的に多く、2階までの少し広めの部屋を探されます。
それに適しているのが古アパートである。古アパートは2K・2DK程度のもので、古い1Rマンションに比べて少し広めである。
古アパートは低額な物件が多く、そのことが古アパートの人気に繋がっているものと思われます。以上の様に、今後は益々2極化が進むものと思われます。
最近の新築物件はセキュリティの充実した部屋等、機能面で充実したものが多く、築5年~10年程度の賃貸住宅は新築の機能、設備に劣らないような対策を講じて行く必要がある様です。
とまとハウス 代表者 粟野 則夫
Copyright(C) tomato house co.,ltd. All Right Reserved.